太宰治賞

太宰治賞

昭和39年に筑摩書房が創設した小説の公募新人賞で、吉村昭をはじめ、加賀乙彦、金井美恵子、宮尾登美子、宮本輝など多くの著名作家を世に送り出しました。昭和53年の第14回を最後に中断していましたが、三鷹ゆかりの文人たちの文化の薫りを継承したいと考えていた三鷹市が、三鷹になじみの深い太宰治の没後50年(平成10年)を機に、筑摩書房に呼びかけ、共同主催の形で復活しました。
第21回太宰治賞受賞者の津村記久子さんは、第140回芥川賞を受賞しました。また、昨年第26回太宰治賞を受賞し、小説家デビューを果たした今村夏子さんは、平成23年5月に同作品「こちらあみ子(改題)」で第24回三島由紀夫賞を受賞しました。

写真:三鷹市長から賞を受け取る由井鮎彦さん
授賞式の様子

第27回太宰治賞が由井鮎彦さん「会えなかった人」に決まりました

三鷹市と筑摩書房の共同主催による復活後13回目の「太宰治賞」の最終選考委員会が、平成23年5月9日みたか井心亭(せいしんてい)で開催されました。選考委員の加藤典洋さん、荒川洋治さん、小川洋子さん、三浦しをんさんの厳正な審査により、1,271編の応募作品の中から東京都在住の由井鮎彦(ゆい・あゆひこ)さん(筆名)の「会えなかった人」に決まりました。

受賞作「会えなかった人」

受賞作「会えなかった人」は、花火大会を一緒に見る約束をした男女を軸に、様々な人物や出来事が幻想的に描かれた作品です。

選考委員の評

選考委員の加藤典洋さんは「正直よくわからない作品だが、従来の枠にない、かなり高いレベルを目指している書き手なのでは、と夢を見させられた」「サスペンスのようで恋愛もある。この文章になぜひきつけられるか分からない。えたいがしれない」と評しました。
選考委員の荒川洋治さんは「意図した書きかたかわからないが、幻想を思わせる作品。」と評しました。

受賞者の由井鮎彦さん

電話で受賞を聞いた由井鮎彦さんは「よかったなあと思います。」と喜びを語りました。

第27回太宰治賞贈呈式

平成23年6月15日(水曜日)午後6時から東京會舘(千代田区)で行われ、正賞の記念品と副賞100万円が贈られました。
なお、受賞作および最終候補作のすべてと選考委員の選評などを収録した「太宰治賞2011」は、筑摩書房から好評発売中です。

第28回太宰治賞作品募集

受賞作
1篇(他に「優秀作」が選ばれることもあります)
締切
2011年(平成23年)12月10日(土) ※消印有効
発表
第一次選考、第二次選考通過作品及び最終候補作品は決定次第、筑摩書房のホームページで発表します。
受賞作(優秀作)は2012年5月にPR誌「ちくま」とホームページに発表します。
受賞作品、優秀作品、最終候補作品は、選評とともに「太宰治賞2012」(2012年6月刊行予定) に収録し、略歴と顔写真も掲載します。(受賞作以外の掲載作品には謝礼を支払います。)
正賞 記念品
副賞 100万円
選考委員(敬称略)
加藤典洋 荒川洋治 小川洋子 三浦しをん
応募規定
未発表小説に限ります。(ただし、2011年中に、同人雑誌など、商業出版ではない形で発表された活字原稿は、選考の対象とします。)
枚数は、四百字詰原稿用紙50枚から300枚までとします。(活字原稿・ワープロ原稿は、四百字詰原稿用紙に換算した枚数を明記してください。ワープロ原稿はなるべくA4判40字×30行の設定でお願いします。)
応募作品は一人1〜2篇に限ります。原稿受取り確認希望の方はご自分の住所・氏名を書いたはがきを同封してください。
原稿の前に、氏名(筆名の場合は本名も)、住所、電話番号、メールアドレス(お持ちの方は)、生年月日(年齢も)、略歴(出身地・学歴・職歴・文筆歴など)を明記してください。原稿は必ず綴じてください。
*メールにて、太宰治賞関連の情報をお知らせする場合があります。
送り先
〒111-8755 東京都台東区蔵前2-5-3 筑摩書房内 太宰治賞係 宛
※当選作品の出版権および映画・テレビ・ビデオ化などの権利は、筑摩書房に帰属します。
※個人情報の扱い、作品の管理については、当サイトにある個人情報保護方針に準じます。
選考過程などに関する問合せには一切応じられません。また応募原稿は返却いたしません。
募集に関する問い合わせ
筑摩書房 太宰治賞事務局(電話 03-5687-2671)
くわしくは筑摩書房ホームページへ(外部リンク)

【第27回太宰治賞最終候補作品】

選考委員(敬称略)

加藤典洋 <かとう のりひろ>
評論家。早稲田大学教授。東京大学卒業後、1985年、評論『アメリカの影』でデビュー。
1995年「敗戦後論」を発表し、話題となる。1997年『言語表現法講義』で新潮学芸賞、1998年『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年『テクストから遠く離れて』と『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞する。他に、『日本風景論』『日本という身体』『日本の無思想』『小説の未来』『太宰と井伏』など著書多数。『考える人生相談』などエッセイも。
荒川洋治 <あらかわ ようじ>
現代詩作家・評論家。早稲田大学卒業後、1976年、26歳で詩集『水駅』を刊行しH氏賞を受賞。以後、詩のみならずエッセイや評論など幅広い分野で活躍している。1998年『渡世』で高見順賞、2000年『空中の茱萸』で読売文学賞、2006年『心理』で萩原朔太郎賞を受賞。また産経新聞紙上で長くつづけた文芸評論をまとめた『文芸時評という感想』で小林秀雄賞を受賞している。著書多数。
小川洋子 <おがわ ようこ>
小説家。早稲田大学卒業後、1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1990年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞および本屋大賞(書店さんが選ぶ一番売りたい本)を受賞。翌年『薬指の標本』がフランスで映画化される。その他の著書に『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『ブラフマンの埋葬』『ミーナの行進』など。
三浦しをん <みうら しをん>
小説家・エッセイスト。早稲田大学卒業後、2000年に『格闘する者に○』でデビュー。『月魚』『秘密の花園』『私が語りはじめた彼は』など小説を発表する一方、ネットや雑誌でエッセイを連載、『あやつられ文楽鑑賞』『悶絶スパイラル』などを刊行。2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を受賞。他に『風が強く吹いている』(2009年映画化)や『仏果を得ず』『神去なあなあ日常』『星間商事株式会社社史編纂室』など著書多数。

これまでの受賞作

第1回(昭和40年) 受賞作なし
熊田真記「寒い夏 一九六二年の想い出に」(候補作)
野淵敏「神話」(候補作)
第2回(昭和41年) 吉村昭「星への旅」
加賀乙彦「フランドルの冬」(候補作)
第3回(昭和42年) 一色次郎「青幻記」
金井美恵子「愛の生活」(候補作)
第4回(昭和43年) 三浦浩樹「月の道化者」
第5回(昭和44年) 秦恒平「清経入水」
第6回(昭和45年) 海堂昌之「背後の時間」
第7回(昭和46年) 三神真彦「流刑地にて」
第8回(昭和47年) 受賞作なし
第9回(昭和48年) 宮尾登美子「櫂」
第10回(昭和49年) 朝海さち子「谷間の生霊たち」
今村実「ついの栖」(佳作)
第11回(昭和50年) 不二今日子「花捨て」
第12回(昭和51年) 村山富士子「越後瞽女唄冬の旅」
田中水四門「私的調書」(優秀作)
第13回(昭和52年) 宮本輝「泥の河」
山口泉「夜よ 天使を受胎せよ」(優秀作)
第14回(昭和53年) 福本武久「電車ごっこ停戦」
朝稲日出夫「あしたのジョーは死んだのか」(優秀作)
第15回(平成11年) 冴桐由「最後の歌を越えて」
第16回(平成12年) 辻内智貴「多輝子ちゃん」
第17回(平成13年) 小島小陸「一滴の嵐」
第18回(平成14年) 小川内初枝「緊縛」
第19回(平成15年) 小林ゆり「たゆたふ蝋燭」
第20回(平成16年) 志賀泉「指の音楽」
第21回(平成17年) 津村記久生「マンイーター」
川本晶子「刺繍」
第22回(平成18年) 栗林佐知「峠の春は」
第23回(平成19年) 瀬川深 「mit Tuba(ミット・チューバ)」
第24回(平成20年) 永瀬直矢 「ロミオとインディアナ」
第25回(平成21年) 柄澤昌幸「だむかん」
第26回(平成22年) 今村夏子「あたらしい娘」